<2022年12月7日更新>
箱の組み立てで起こるトラブル~貼りズレ

段ボール箱の製作工程において、特に多く発生するのが「貼りズレ」のトラブルです。
この貼りズレが生じる大きな原因の一つに、シートを折る際に発生する「座屈(ざくつ)」が挙げられます。
座屈とは、段ボールの同目方向に180度折れスジ押し罫線を入れた際、罫線の両サイドどちらかにシワが発生してしまう現象のことです。
座屈が発生するメカニズム
座屈が発生する主な原因は、「腹打ち」状態からさらに折りたたむ際、中芯の強い方が弱い方を押し込んでしまうことにあります。

図①が、段ボールを打抜いた状態です。

図②は、それを90度曲げた状態です。ここまでは問題なく折ることができます。

しかし、それ以上曲げようとすると「腹打ち」状態が発生します。
「腹打ち」とは、図③のように裏ライナー同士が当たることで、折る際に強い負荷がかかる現象です。

そこから更に折り曲げ続けると、図④のように、H、Kどちらかが強く曲がってしまいます。
これが「座屈」状態です。
腹打ち状態のまま圧力をかけると、中芯の強い方が弱い方を押し込み、座屈した「K寸法」が「H寸法」よりも短くなってしまいます。
座屈を起こさず寸法精度を保つためには、「腹打ち角度をより180度に近づける」必要があります。
従来は、180度に近づけるために「罫線を太くして、より深い角度まで持っていく」という対策が主流でした。
しかし、この手法には別のトラブルを招くリスクが潜んでいます。
現状の課題:①罫線幅が太い場合の貼りズレ
折れ線が太くなると、折れスジのセンターが出にくくなり、バラツキが生じてしまいます。

こちらは、貼り罫(180°)折り部で発生した貼りズレの例です。
裏抜きで180度折る部分は表面の「罫割れ」が発生しやすいため、それを防ぐ目的で罫線幅(2mm~3mm)を広く設定することがあります。しかし、幅を広くすると今度は貼りズレが起こりやすくなり、貼りの不良率が高まってしまいます。
そのため近年では、折れ精度を向上させるために「罫線幅を小さくし、溝幅を狭くする」手法が主流となりつつあります。
現状の課題:②座屈によるシワ
座屈によるシワは、貼り罫の左右どちらにも発生します。明確な法則はなく、どちら側にシワが出るかを事前に予測することはできません。
シワが発生する位置は、中芯の強度がどちら側に偏っているかによって変化します。

座屈の発生を防ぎ、綺麗に折れ線を出す方法はないか――。
そこで辿り着いたのが、罫線そのものを改良するというアプローチでした。
波形押罫 トライン罫:特徴と効果
貼りズレを抑え、折れ精度を高めるのが「波形押罫 トライン罫」です。

トライン罫は主に3つの特徴があります。
①刃高方向に波形の形状を持った波形押罫
②罫線が破線状に入るため、従来の罫線よりも深く入れることが可能
③罫線を強く入れても、先端のディンプルによって圧力を逃がして分散できる
罫線を高くした場合でも、トライン罫の溝部(谷)が圧力を逃がし、過度な負荷を和らげます。
また、シートの種類(厚み)に応じて「三角型コルク」や「スポLW」などを併用していただくことで、腹打ちの影響をより一層軽減できます。
トライン罫の効果
◎罫割れの防止
◎グルア精度の向上
◎自動充填スピードの向上
※トライン罫がシートに食い込んだ跡は、薄くミシン目が入ったような仕上がりになります。
トライン罫の構造
トライン罫は、中央のセンター罫1本と両サイド罫2本を合わせた、計3本の罫線で構成されています。

打抜き時の面切り図です。


こちらは、トライン罫で打抜いたシートを180度折り曲げた際にできる、シワの痕のイメージです。
罫の入り痕をしっかり付けることで、シワ痕の細い部分がスムーズな折り曲げを促し、広い部分が座屈を効果的に吸収します。
この作用により左右の偏りが抑えられ、折れ精度が大幅に向上します。
トライン罫の折れ筋テスト
B/F(C5両面)を使用し、罫線構造(3本罫)はそのままに、両サイドの罫線高さを変えて比較テストを行いました。
・条件A:両サイドの罫線高さを「高め」に設定
・条件B:両サイドの罫線高さを「低め」に設定
※面設定はA・Bともに「C-0640」で統一して検証しています。

まとめ:貼り精度を向上させるために
貼り精度を向上させるためには、まず「折れ筋のセンターを正確に出すこと」が不可欠です。
・従来の課題
罫線を高くする + 面設定をきつくする → センターは出るものの、罫割れが起こりやすくなる
・「トライン罫」による解決
罫線を高くした分の圧力を溝部分で逃がす → 罫割れを防ぎつつ、深く罫を入れることが可能
・座屈の抑制効果
罫線両サイドを広く潰す → 中芯の力を部分的に弱め、座屈の影響をしっかり軽減
【さらに効果を高めるおすすめの併用部材】
・B/F以下のシート → 三角コルク、またはスポンジ
・A/F以上のシート → スポLW
貼りズレのお悩みを解消し、より高品質な製品づくりへ。
トライン罫の導入や最適な部材の選定について、ぜひお気軽にご相談ください。
